なんという愛に溢れた温暖化!!!!
なんというお互い大好きな双子達!!!
そしてなんという
アキさんの双子に対する
のオーラ(笑)!!!!
地球の温暖化は勘弁ですが
双子の愛は常にヒートアップでいいと思う望月です!!!
来年からはキャンドルナイトの日は望月もちゃんと電気を消して
過ごしたいと思います!!!(蝋燭だと火事になったら怖いから・・・・。(びびり))
アキさん何度も書き直してつくられた
大事で素敵なお話をプレゼントして下さって
ありがとうございます!!!!!未だに私なんかが
いただいてしまってよかったのか悩んでおります(滝汗)
これからも仲良くしてくださると嬉しいですwww
アキさん大スキー望月でした!!!!(*^w^*)
繻子(しゅす)

二時間だけ、ろうそくに火を灯そう。
 
 水の粒子がしっとりと肌にまといつく湿度の高い一日の夕暮れ。消耗品の買出しに出た雲水は、レジカウンターに置いてある一枚のチラシに目をやった。
 
“キャンドルナイト”
 
「よろしければ、どうぞ」
 誠実そうな目をした店長らしき中年の男性から、チラシと一緒に真っ白な一本のろうそくを渡されて、寮へと帰る道すがら、雲水はそのチラシに目を通した。そして、せっかくだから楽しむことに決めた。
 
 夏至の日に、電気を消して、ろうそくの灯りだけで二時間を過ごすのだ。
 
 
 
 夜の七時を過ぎても、まだ太陽は沈みきってはいない。夏至の日の入りは遅い。
 帰宅した雲水は、さっそく煌々と点いていた部屋の照明を落とした。
 退屈しながら帰りを待っていた阿含が、それを見て、「待ちきれねえのか」と、嬉しそうに雲水の腰に腕を回す。
「バカ、ちがう」
 ろうそくを取り出した雲水は、キャンドルナイトの趣旨を阿含に説明しつつ、火を探した。マッチがどこかにあったはずだ。
 興をそがれた阿含が、
「仏壇のローソクか?‥‥遊び心がねえ」
 と、隣でぶつぶつ言い始める。
「そう言うな。いただき物だ」
「くれるもんなら何でもいいのか」
「何を言ってるんだ、お前は」
 阿含の嫉妬深さはよくよく分かっているが、これではおちおち外も歩けない。
「店の人の厚意だ。受け取らないほうが失礼だろう」
 今、世界中で何が起こっているのか、お前も知っているだろう。悪化の一途をたどる環境問題に歯止めを掛けたいと願うのは、誰しも同じじゃないか。
 やっと見つけた紙マッチでろうそくに火を灯しながら、雲水が言う。
「嫌なら部屋に戻ればいい」
 強制はしない。共感とは無理に得るものではない。人はひとりひとり違うから、共感すら幻想に過ぎないのかもしれない。でも、阿含。
「お前と過ごしたかったのに」
 
「っの、バカ!」
 阿含にとって、地球の現状、ましてや未来なんぞはどうでも良いが、雲水の悲しい顔は重大問題だった。これは可及的すみやかに解決すべき案件だ。
「一緒にいる。決まってんじゃねえか」
 そして揺れるろうそくの灯に照らされた色っぽい雲水を抱く。最高だ。
 
 雲水は、無理に迫ってくる阿含の顔をそっと両手で挟み、目を合わせて、小さな子に諭すように言う。
「ろうそくから目を離したら、火事になる。危ないだろう?」
 燃え尽きるまで、おあずけだ、と言っているのだ。
「‥‥どんくらいだ」
「このサイズなら、たぶん、」
 と、雲水の言葉が終わる前に、阿含がろうそくを吹き消した。
「このバカ!」
 なにをするんだ、と雲水に叱られて、
「ナニを」
 阿含は笑って、雲水を抱き締めた。
 
「電気を消せばいいんだろ」
「省エネの話じゃない」
「温暖化防止だろ」
「それだけじゃないんだ」
 ろうそくの灯りだけを頼りに過ごす二時間。そのとき自分は何を思うだろう。
 人は自然の一部であり、地球という惑星はひとつであり、そこに住まうひとりひとりが未来への責任を果たすべきであり‥‥。
 そんなありきたりのことではなく、何か思うことがあるはずなんだ。
 
「生かされていることへの感謝、かな」
「あ゛?」
「お前はどうなんだ」
「くだらねえ」
 阿含にとって、雲水以外のすべてがくだらないことだった。興味がないから、何の価値もないのだ。
「もう黙れよ」
 うるさい口をくちびるでふさぎ、阿含は強く雲水の舌を吸い上げる。
 この歓喜。この愉悦。
 くちびるは敏感な性感帯だ。上手に熱心に愛してやらなければ。
「んっ、ん」
 浅く、深く、舌を絡ませる。
 軽く噛んでは逃げていく阿含の歯を追って、その裏側に雲水は舌を伸ばす。
 すると、待ち兼ねていた熱い舌に掬い上げられて、またきつく絡め取られる。
 タイミングを合わせるとは、互いの息を合わせるということだ。
 アメフトでのプレイのみならず、くちづけの呼吸まで、ふたりは完全に一致し、完璧に調和していた。どうすればより強く、よりいっそう感じるのか、阿含と雲水は互いに熟知していた。
 それは、経験から身についたことではなかった。最初からふたりが生まれ持った、まさしく阿吽の呼吸だった。
 
 貪り食うようなくちづけを交わしつつ、ふたりは己の服を脱ぎ、互いの左胸に手のひらを置く。鼓動が速い。まるで赤く脈打つ心臓にじかに触れているようだ。
 そのまま押し倒された雲水が、素早くつぶやく。
「お前の膝が、」
 擦りむける、と言う前に、阿含にまたくちびるを奪われる。
「う、んっ」
 阿含は手早く足元の服を手繰り寄せて、その上に跪く。
「これでいい。集中しろ」
 自分の体を気遣ってくれる雲水が愛しくてならない。お前のほかに何も要らない。こんなに好きにさせやがって。どうしてくれる。
 
 裸で抱き合えば、サテンのように輝く汗に濡れた雲水の肌が、隙間なくぴったりと吸い付いてくる。
 
 このままで、濡れたままで、朝まで抱き合っていたい。
 
 阿含の思いとは裏腹に、熱を発する体を重ね合いながら雲水は懸念する。
 これは逆に温暖化を促進しかねない。
 ‥‥だが、まあいいか。今年のキャンドルナイトは長い。サミット絡みで七夕まで続く。チラシにそう書いてあった。
 明日こそ、ろうそくに火を灯そう。
 
 ―― 夜が深くなる。
 
 灯りの消えた暗い部屋で、声をひそめてふたりは愛し合う。
 
 二時間後に、再び電気を点ける余裕などないことを、ふたりともが知っていた。
 
 
 
 
 
 
 


- end -
モドリマス。